酸素飽和度(sO2)は、機能的ヘモグロビン(すなわち、酸素運搬能力を持つ酸素化ヘモグロビン(O2Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(HHb))に対する酸素化ヘモグロビン濃度の比です。 よって、sO2は以下のように表すことができます。
sO2は現在利用可能な酸素運搬能力がどの程度使用されているかを示します。
動脈血の場合、酸素の98~99%はヘモグロビンに結合した赤血球で運搬されます。残りの1~2%の血液で運搬される酸素は血漿に溶解しています。これは酸素分圧(pO2)として報告される部分です(pO2を参照)。
sO2の基準範囲(成人)例:94~98%
成人の場合sO2が80%を下回ると、生命に関わるとされています。
sO2の生理的背景
各ヘモグロビン分子は最高で酸素分子 4 つと結合して O2Hb を形成します(Hb、O2Hb を参照)。ヘモグロビンが酸素を運搬する機能、すなわち、肺の微小血管系内の酸素を「取り込み」、動脈血に運び、組織細胞の微小血管系に「放出」する能力を持つのは、ヘモグロビンがその構造を可逆的に変化させ、酸素親和性(Hbを参照)を変化させることができるからです。ヘモグロビンの酸素親和性を決定する主な要因の1つは血液のpO2です。 詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
sO2はなぜ測定するのか?
sO2はpO2と共に、血液酸素化の評価手段となります。ODCはS字形であるため、血液が適正に酸素化されている場合、sO2から得られる情報はpO2に比べて少なくなります。すなわち、曲線上部の平らな部分では、pO2の大きな変化に対して、sO2の変化はかなり小さくなります。詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
sO2はいつ測定すべきか?
sO2の測定は、急性または慢性の重症呼吸器系疾患患者または呼吸器系疾患以外の病気(脳や胸部の外傷、薬物過量摂取)に起因する呼吸不全患者の診断、評価、モニタリングにおいて臨床的に有用です。
sO2低下の原因
sO2の低下は酸素摂取の低下を示唆し、下記のような状態に関連していることがあります[14]。
- 器質的な原因(気道閉塞、胸部外傷など)
- 神経筋疾患(ギラン・バレー症候群、重症筋無力症など)
- 呼吸中枢を抑制する薬(オピオイド、ヘロイン、モルヒネなど)
- 重度の肺炎
- 肺塞栓
- 肺水腫
- 急性喘息
- 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 肺疾患(肺線維症など)
- 気胸
- チアノーゼ性先天性心疾患
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。