二酸化炭素(CO2)は酸性ガスで、血液中のCO2量は主に呼吸の速さと深さにより制御されます。pCO2は血液中のCO2分圧です。これは、血漿中に気体状態で残存する総CO2の一部(最大5%)から導き出されます。pCO2は酸塩基平衡の呼吸性因子で、肺換気量の妥当性を反映します。換気不全の重症度および慢性状態は、酸塩基状態の変化(「酸塩基状態」を参照)と合わせて判断することができます。
pCO2の基準範囲(成人)例:
女性(動脈血):32~45 mmHg(4.26~5.99 kPa)
男性(動脈血):35~48 mmHg(4.66~6.38 kPa)
pCO2の生理学的意義
CO2は細胞代謝により継続的に産生され、肺から呼気中に排出されます。CO2は静脈血により肺に運搬されます。体内で産生されるCO2のほとんど(90%)は血液内では重炭酸・バイカーボネート(HCO3-)の形で運搬されます(HCO3-を参照)。HCO3-はpCO2測定値には含まれません。CO2は肺胞毛細血管壁を通して血液から肺胞気へ拡散し、排出されるCO2の量は肺胞換気の割合により決まります。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
pCO2はなぜ測定するのか?
pCO2の測定- pHとHCO3-と同時に測定することは、酸塩基平衡障害の診断とそのモニターに非常に重要です。pCO2は「呼吸系」がどの程度酸塩基状態に寄与しているかを反映します。
- 肺胞換気の妥当性を裏づける。
- 呼吸不全のタイプIとⅡを区別することができる(下記の呼吸不全を参照)。
- 呼吸不全のタイプⅡにおける酸素療法や人工呼吸器管理の安全性・有効性のモニターに使用される。
pCO2(pHとHCO3-)はいつ測定すべきか?
臓器が適切に機能するための必須条件である酸塩基恒常性のメカニズムは非常に複雑であるため、pHとHCO3-と同時にpCO2を測定することは、重度の急性疾患だけでなく、重度外傷の評価においても非常に重要です。救命救急診療・集中治療環境においては、通常、pCO2はpHとHCO3-と同時に測定・評価されます。
詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。
pCO2上昇の原因
Acute care testingハンドブックを参照してください。
pCO2低下の原因
Acute care testingハンドブックを参照してください。
pCO2不均衡に関連する症状
症状はpH(pHを参照)とHCO3-に起因する酸塩基平衡障害と同様です。
pCO2に異常があると、心臓血管系や中枢神経系に影響を及ぼし、迅速なpCO2測定が必要となることがあります。
pCO2上昇・低下の症状
Acute care testingハンドブックを参照してください。
臨床的解釈
Acute care testingハンドブックを参照してください。