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COHb

カルボキシヘモグロビン

FCOHbは、総ヘモグロビン(ctHb)中に存在するカルボキシヘモグロビン(COHb)の割合です。通常では百分率(%)で表されます。よって、以下のように表すことができます。

COHb

0~60%の範囲では、動脈血中のCOHb(COHb(a))と静脈血中のCOHb(COHb(v))はほとんど同じですので、静脈血、動脈血のどちらで測定しても構いません。FCOHb(a)はほとんどの医学文書において単にCOHbと表記されます。以下の解説でもCOHbを用います。

COHb基準範囲(成人)-例:
基準範囲は一酸化炭素(CO)への暴露レベルによって異なります。
非喫煙者:  0.5~1.5% 
喫煙者:   1.5~5.0% 

COHbとは何か?

カルボキシヘモグロビンは、CO(一酸化炭素)とヘモグロビンが結合したものです。COは肺胞膜を容易に通り抜け、酸素よりも高い親和性(最高で250倍)でヘモグロビンと結合します。COHbは酸素と結合できず、異常ヘモグロビンに分類されます(Hbを参照)。

血液中のCOHbレベルは血液中のCO量により決まります。健常な人の場合、COHbとして存在するヘモグロビンは総ヘモグロビンの2%未満です。これは、ヘムのビリルビンへの通常の異化作用時に内生的に産生される微量のCOと、吸気に通常含まれるCOに起因するものです。COHbの存在下では血液の酸素運搬能力が低下し、COHbが上昇すると、酸素運搬量が低下し、その結果、組織低酸素を引き起こします。

COHbはいつ測定すべきか?

この検査の主な臨床的有用性は、一酸化炭素中毒の診断とモニターです。一酸化炭素中毒の症状を以下に記載します。

COHb(%) 影響・症状
10 感知できる影響は、激しい労作時の息切れ以外にはない
20 中程度の労作による息切れ、間欠的頭痛
30 持続性頭痛、疲労、眩暈、判断力低下
40~50  混乱、失神、虚脱
60~70  痙攣、昏睡、呼吸不全(致死の可能性)
80 即死


一酸化炭素中毒患者の肌が鮮紅色になるのは、COHbの色に起因する、非常に良く知られている具体的兆候ですが、これは通常死後にみられます。

詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。

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