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フォルスマン:心臓カテーテルを自分の身体で実証

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図 フォルスマンのポートレート。ノーベル賞の頁から

フォルスマンの人生と子供たち:フォルスマン(Forssmann W:1904-1979)

彼が心臓カテーテルの論文を発表した1929年には、医師国家試験に合格したばかりの25歳で、外科医になるつもりで修業を開始したのに、この論文を契機に大御所ザウエルブルッフ(Sauerbruch EF:1875-1951)に嫌われて研修医を止めさせられ、別の指導者によって一応外科医になりました。その後、泌尿器科医の女性と結婚して自身も泌尿器科に転科して泌尿器科を開業していましたが、1956年に突然ノーベル賞を受け、「地味な町医者の境遇から、ノーベル賞で変貌を遂げた」と述べています。

インターネットには「時間はかかったが貰えてよかった」を意味する"better late than never"という常套語も書かれています。もっとも、業績からノーベル賞まで30年以内ですから極端に遅いとは言えません。オワンクラゲタンパクで2008年に受賞した下村脩氏の場合、発見は1962年ですから46年後です。そういっても、他の例では研究者の立場を続けて周囲は業績を十分に認識していたのに、フォルスマンは「開業医になっていた」点が珍しいでしょう。

夫妻は6人のお子様に恵まれ、4人目の方(Wolf Forssmann:1939生まれ)はANP(心房性ナトリウム利尿性ペプタイド:atrial natriuretic peptide)の発見者・研究者でMedlineに百篇以上の論文があります。

論文は、雑誌刊行元のシュプリンガーが無料公開していますが、英訳はありません。ソフトウェアで英訳して貰うと、ドイツ語→英語の訳は不自然度が少なくて何とか読めました。

参考文献:
Forssmann W. Die Sondierung des rechten Herzens. Klin Wscft 1929. 45:2085-2087.
http://www.springerlink.com/content/m3748762541316x5/fulltext.pdf オープンアクセスです。

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