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フィックの原理

心拍出量=酸素摂取量/(動脈血酸素含量-混合静脈血酸素含量)

として算出できることの提案。

フィック自身は二酸化炭素でも測定できることを述べている。この原理はいろいろと他の指示物質を使う方法にも拡張された。

原理的には、質量保存法則の一表現ともいえる。

フィックの原理:フィックが1870年に発表したもの。内容は上記。

Fick A. Ueber die Messung des Blut quantums in den Herzventrikeln. Sitzungs Berichte fur phys-Med Gesselshaft Wurzburg. July 9 1870. ( 16:1 XVI) (東京大学医学図書館所蔵)

内容は、「心拍出量はこうやれば測定できる」という原理を1頁で述べたもので、「私のところでは測定はできない」と述べて以前に活動していたルードヴィッヒの研究室のデータを借用して計算例を示している。正規の論文ではなくて、研究会での報告の記録である。

一つだけ注意を要するのは、圧の標準を「水銀柱1m」としている点。

実際に「フィックの原理」を当てはめて心拍出量を測定したのは1886年フランスのGelhant が最初とされる。さらに1898年には、ドイツのZuntz がウマで詳細に研究して体重375kgのウマで44L/分という数値を提示している。

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