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AG

アニオンギャップ

アニオンギャップ(AG)は、バイカーボネート(HCO3-)と、2種(または3 種)の血漿・血清電解質イオン濃度測定値(ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、クロライド(Cl-))から計算される演算パラメーターです。AG の計算式は2 つあり、最も一般的に使用される式では、主要な血漿陽イオンであるNa+の濃度と、主要な血漿陰イオンであるCl-と HCO3-の総濃度の差をAGと定義しています。もう 1 つの式には陽イオンK+も含まれます。したがって以下のように表すことができます。

アニオンギャップ       = [Na+] -([Cl-]+[HCO3-])

アニオンギャップ (K+)=([Na+]+[K+])-([Cl-]+[HCO3-])

AGの基準範囲-例:
アニオンギャップ       :8~16 mmol/L
アニオンギャップ (K+):10~20 mmol/L  

どちらの式を使っても、電解質の測定に用いる装置によってAG 値は多少異なります。患者のAG値を正確に解釈するためには施設で定められている基準範囲を用いる必要があります。

AGの概念と臨床的意義

電気的中性の原理では、血漿中の総陰イオン濃度(測定されるものと測定されないものすべて)は総陽イオン濃度と同一であるはずです。AG は、血漿中で最も量の多い陽イオン(Na+)の濃度は血漿中で最も量の多い陰イオン(Cl-と HCO3-)の濃度よりも高いという事実を反映しています。血漿中にはその他にも測定されない陽イオン(Mg2+、Ca2+)や陰イオン(タンパク質(アルブミンなど)、有機酸(ラクテートなど)、硫酸塩、リン酸塩など)があります。

詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。

AGはなぜ測定するのか?

AGの主要な臨床的有用性は、特に代謝性アシドーシスの酸塩基平衡障害の特定と精査です。代謝性アシドーシスと確定された場合、AGの測定はその原因について有益な情報となります。AGの異常は酸塩基平衡障害のみにみられるわけではなく、広範な診断的意義があります。

代謝性アシドーシスとAG

一般的に、代謝性アシドーシスは、蓄積された非炭素系(揮発性)代謝性酸の電離で生じる、測定されない陰イオンの顕著な上昇を伴います。たとえば、代謝性アシドーシスの最も一般的な原因である乳酸アシドーシスは測定されない陰イオンであるラクテートの蓄積が原因です。このような測定されない陰イオンの増加はAGの増大につながります。AGの増大を伴う異常な代謝性酸(最も一般的な原因)の蓄積が主要な原因で発症する代謝性アシドーシスは「高アニオンギャップ性代謝性アシドーシス」と呼ばれます。

詳細についてはAcute care testingハンドブックを参照してください。

臨床的解釈

20 mmol/L未満のAG値が顕著なアシドーシスを示唆することは稀で、こういった値はほとんどの場合、これはタンパク質、リン酸塩の変化または等価な変化の結果としてみられます。

30 mmol/L を超えるAGは通常、容易に確認可能な有機酸アシドーシス(乳酸アシドーシスまたはケトアシドーシス)が原因です。

AG増大の原因

Acute care testingハンドブックを参照してください。

AG減少の原因

Acute care testingハンドブックを参照してください。

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